自分は弱い人間であることを自覚している。内気で消極的で他人(ひと)の顔色を窺いながら、積極的に関わることをしてこなかった。
今になって分かったことがある。
(自分が傷つくことを怖れるがあまり)何も行動しないという選択よりも、(自分が傷ついても自力で回復できる範囲で)行動し、失敗することのほうが実りがあるということ。
二十代の頃に周りの人に言われた言葉がある。
「お前は何を考えている?」
「頭の中はどうなっている?」
「もっとしゃべろ!」
でも何をしゃべったらいいかわからない。
言葉のキャッチボールができない。
どうすればいい?
しゃべろうとしても言葉に詰まる。
自分の話している声に違和感をおぼえる。
そこからお風呂場や車の中で声を出す練習をした。話す中身は身の回りにある物(時計、えんぴつなど)について、他人に説明するつもりで話す。
また他人の前で挨拶をすることもあるので、その定型文を声を出して暗記できるまで練習する。
そうやってとにかく慣れた。
もう一つ分かったことがある。
自分が十代の頃(否もっと前の幼かった頃かもしれない)の精神年齢とほとんど変わっていないことを。
世渡りの術は身につけたが、それはすべて表面的な事柄だった。
人間は変われないのかもしれない。
実は人間として生まれたことが奇跡なのかもしれない。
無駄に日々を過ごしてはいけなかったのだ。
だからこれからの時を大切に・・・