このところ少しだけ早起きし、少しだけ得をした気分を味わっていた。実はあまりやりたくはないが、しかしやらなければ後が思いやられることなどをこなして似非充実感を味わっていただけで、本当にやるべきことはまた後回しにしてしまった。嗚呼。
世の中は一進一退を繰り返しながら、それでもわずかづつ進歩するものだと思っていたが、実は大きな思い違いをしていたらしい。自分のことを例えとして考えてみれば「失敗は成功の元」とは言い切れないことがすぐにわかったはずなのに、だ。失敗しても間違っていても気がつかない。本物か偽物か区別もつかない。自分の中にある種々雑多な思考や嗜好に振り回されて口だけは軽快で、頭脳は明晰にあらずだ。昨日も今日もそして明日も条件反射的に生きているだけで、それは残念ながら死んでいるも同然と言うべきであった。それなのに全く危機感を持ってこなかったというのは、ただお目出度いと言って済ませる話ではない。まだ一縷の望みは残っていますか。嗚呼。
藤の花びらはすでに散って、棚の下は絨毯ぽくなっている。今は菖蒲が盛りだ。いやアヤメだったろうか、カキツバタだったろうか。とにかく道路脇で一列に静かに整列している。
